「月末になるたびに売上が読めない」「キャンセルが重なると赤字ギリギリになる」 そんな不安を感じている院長は少なくありません。
その解決策が回数券・月額プランの仕組み化です。患者に事前に通院をコミットしてもらうことで、売上の予測精度が上がり、キャンセルの影響を最小化できます。本記事では、プランの設計から患者への説明トーク、LINE自動化との連携まで一気通貫で解説します。
回数券・月額プランが経営を安定させる理由 / プランの設計と相場 / 患者への説明トーク / 特定商取引法の注意点 / LINE自動化との組み合わせ / よくある失敗パターン
回数券・月額プランが院経営を安定させる理由
整骨院経営の最大のリスクは「売上の変動が大きすぎること」です。天気・季節・連休・インフルエンザの流行期。これらすべてが来院数に直撃します。1回払いだけの院は、この変動をそのまま受け続けます。
一方、回数券や月額プランが導入できれば、患者が来院する前に売上が確定します。10回券を10,000円で販売すれば、その時点で10,000円の売上が確定。月額プランなら毎月決まった日に自動で入金が来ます。
売上が予測できると何が変わるか。院長が「今月も大丈夫か」という不安から解放され、施術の質・スタッフ採用・設備投資という本来やるべきことに集中できます。これが経営の安定化における最大のメリットです。
回数券 vs 月額サブスク:違いと向いている院
「回数券と月額どちらがいいですか?」という質問を院長からよく受けます。答えは、両方用意してどちらか選んでもらう設計が最も成約率が高まります。ただし特徴は異なります。
| 回数券 | 月額サブスク | |
|---|---|---|
| 支払いのタイミング | 購入時に一括前払い | 毎月自動決済 |
| 患者の心理的ハードル | やや高い(まとまった金額) | 低い(少額×継続) |
| 向いている患者層 | 急性症状・新患・短期集中 | 慢性症状・予防ケア・常連患者 |
| 院のメリット | 即時キャッシュフロー | 長期収益の安定 |
| 管理の手間 | 残枚数の把握が必要 | 継続確認・解約対応が必要 |
腰痛の急性期で「3週間で治したい」という患者には回数券。肩こりで「毎月メンテナンスしたい」という患者には月額プラン。症状とニーズに合わせて提案する文化をスタッフ全員で作ることが大切です。
回数券設計のポイント
回数券は「枚数・単価・有効期限・割引率」の4要素で設計します。複雑にするほど患者が迷い、スタッフも説明しにくくなります。まず2種類だけ用意することを強くおすすめします。
5回券・10回券の相場と設定例
全国の整骨院における相場と、実際の設定例を以下に示します。
| 種別 | 通常1回料金 | 回数券単価(例) | 割引率 | 有効期限 |
|---|---|---|---|---|
| 5回券 | 3,000円 | 13,500円(2,700円/回) | 10%引き | 3ヶ月 |
| 10回券 | 3,000円 | 25,500円(2,550円/回) | 15%引き | 6ヶ月 |
| 5回券(高単価) | 5,000円 | 22,500円(4,500円/回) | 10%引き | 3ヶ月 |
| 10回券(高単価) | 5,000円 | 42,500円(4,250円/回) | 15%引き | 6ヶ月 |
割引率は10〜15%が標準です。20%を超えると患者に「元の料金が高すぎる?」という疑念を抱かせることがあります。値引きよりも「継続のサポート料」という打ち出し方が誠実で伝わりやすいです。
有効期限が短すぎると「使い切れなかった」という不満につながります。5回券は3ヶ月、10回券は6ヶ月が業界の標準です。「月2回ペースで来てください」という通院指導と組み合わせることで、期限内の消化率が上がります。
月額サブスクの設計
月額プランは「月◯回まで通い放題・または月◯回固定」の形式が一般的です。おすすめの設計は以下の2段構えです。
- 月2回プラン:月額4,800円〜6,000円(通常1回3,000円の場合、2〜3割引)
- 月4回プラン:月額9,600円〜11,000円(通常1回3,000円の場合、2〜3割引)
ポイントは「月額費用÷回数で1回あたりの実質単価が明確になる」こと。患者が「お得かどうか」を自分で計算できるほど、成約しやすくなります。
患者への伝え方・断られない説明トーク
月額プランで最も失敗しやすいのが「押し売り感が出てしまう」ことです。以下の3つの言葉を意識するだけで、断られる率が大幅に下がります。
「今の状態だと、週1ペースで2〜3ヶ月続けるのが一番効果が出やすいです。月額プランにするとちょうどそのペースで通えて、1回あたりの費用も少し抑えられます。もちろん強制ではないので、試しに1ヶ月から始めてみるのもありです。どうしますか?」
このトークのポイントは3つです。①医療的根拠(週1ペース)を先に話す、②費用メリットをさらっと添える、③「強制ではない」と逃げ道を作る。患者が「自分の体のために選んでいる」と感じられる設計が重要です。
また、「今日決めなくていいですよ。次回来院のときに教えてください」という一言が、その場の成約率を逆に上げます。プレッシャーを与えないことが信頼につながり、2回目来院時に自発的に「月額にします」と言ってくれるケースが多いです。
導入時の注意点:特定商取引法・返金ルール
回数券・月額プランは「継続的役務提供契約」に該当する場合があります。特定商取引法では、一定の条件を満たすサービスに中途解約権が認められています。院長は以下の点を必ず確認してください。
- 契約書または利用規約の整備:プランの内容・料金・有効期限・中途解約時の返金計算方法を明記する
- 返金計算の明確化:「使用済み回数×通常料金を差し引いた残額を返金」というルールをあらかじめ患者に説明する
- 領収書の交付:前払いで受け取った金額については必ず領収書を発行する
- 月額プランの解約手続き:「何日前までに申し出ること」という解約ルールを明示する
「返金はしません」という記載だけでは法的に無効になる場合があります。「特定商取引法に基づく返金対応を行います」と明示し、返金計算式を契約書に記載することが安全です。弁護士や行政書士に書類のチェックを依頼することもおすすめします。
LINE×自動化との組み合わせ
ソクヨヤに回数券の残数管理機能はありません
この章は、回数券の運用をLINEで自動化する場合の一般的な考え方を説明したものです。現在ソクヨヤが提供しているのは、レセプトAIとLINE予約(予約・変更・キャンセル・リマインド)です。回数券の残枚数管理は、院の台帳や表計算での運用になります。
回数券・月額プランの最大の課題は「管理の手間」です。患者の残枚数を把握して、期限が来たらリマインドして。これをスプレッドシートで手作業でやっていたら、続きません。
ここでLINE自動化が威力を発揮します。
残回数リマインド自動送信
患者の残回数が1回になった時点で、LINEに自動メッセージが届きます。
「〇〇様、回数券の残回数が1回になりました。次回の施術後に新しいプランのご案内をさせていただきます。ご不明な点はこちらにどうぞ!」
このメッセージが届くと、患者側が「次回は継続するかどうか考えておこう」という心の準備ができます。来院当日に突然「次の回数券どうしますか?」と聞くより成約率がはるかに高まります。
期限切れ前の自動アラート
有効期限の7日前・3日前に自動でリマインドLINEを送ることができます。「残り7日で期限が切れますが、まだ2回残っています。お気軽にご予約ください」というメッセージが届くことで、期限切れによる無駄が減り、患者満足度も上がります。
院長・スタッフ側にも「今週期限切れが来る患者一覧」を月曜朝に自動通知することで、優先的に声がけできます。
月額プランの更新リマインドと継続フォロー
月額プランの更新月の前週に「来月も継続しますか?ご変更がある場合はこちらからお知らせください」というLINEを自動送信。解約する場合は早めに把握でき、院のキャッシュフロー予測の精度が上がります。継続の場合は特別なアクション不要で自動更新されるため、患者・院両方の手間が最小化されます。
失敗パターン:導入した院の共通NG行動
回数券・月額プランを導入しても「うまくいかなかった」と感じる院には、共通したパターンがあります。
失敗1:プランを複雑にしすぎた
「3回券・5回券・8回券・10回券・月2回・月4回・月通い放題」。7種類ものプランを用意した院がありました。患者はどれを選べばいいか迷い、スタッフも説明できなくなり、結果として誰もプランを勧めなくなりました。プランは最大3種類までに絞るのが鉄則です。
失敗2:説明が長すぎてプレッシャーになった
「お得ですよ」「継続するのが大事です」「月額の方が絶対おすすめです」と熱く語りすぎると、患者は引いてしまいます。説明は30秒以内で完結させる。詳細は患者が聞いてきたときに答える。この「引く」姿勢が信頼につながります。
失敗3:リマインドを手作業でやろうとした
スプレッドシートに患者名・購入日・残枚数・有効期限を入力して、毎週チェックして……というオペレーションを続けた院は、3ヶ月で管理が崩壊しました。リマインドは最初から自動化前提で設計しないと、必ず失敗します。
失敗4:返金ルールを決めていなかった
「途中で転居することになった」「体の調子が悪くなって通えなくなった」。こういった事情で患者から解約・返金を求められたとき、ルールが決まっていないと院長が判断に迷い、対応が遅れてトラブルになります。プラン導入前に必ず返金ルールを文書化してください。
まとめ シンプルな設計で始めて自動化で回す
回数券・月額プランは、整骨院経営の安定化に最も即効性のある施策のひとつです。ただし複雑にしすぎると続きません。
大原則は「プランは2種類だけ、説明は30秒、管理は自動化」の3つです。この3つが揃えば、院長が売上の心配をする時間は大幅に減ります。LINE自動化で残回数リマインド・期限アラート・更新通知を仕組み化することで、スタッフの手間もほぼゼロになります。
まずはシンプルな設計で1ヶ月試してみてください。成約率・消化率を見ながら少しずつ改善するのが、長く続けるコツです。